忍者ブログ

+dilagare+プチオンリー主催中。

女性向き(BL等)、腐女子向け。『家庭教師ヒットマンREBORN!』の二次創作が中心です。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  • 2024/05/19/08:41

Buon natale

十年後かでリボツナ。クリスマスの夜に。

めずらしく甘々です。

拍手










12月25日 natale。

綺麗にデコレーションされた、苺と生クリームのケーキをすくい、リボーンの口に運ぶ。
開かれた小さな口の中に差し入れ、様子をうかがう。

少し咀嚼した後に嚥下。
チラリと走った黒曜の瞳に、愉悦の色。
くっと上げられた唇の端に安堵し、直後に言われた言葉に顔を綻ばせる。

「まあまあじゃねぇか」

本当?と返し、自分の口にもケーキを運ぶ。
甘さを控えた生クリームと、スポンジに染み込ませたブランデーの香り、苺のさわやかな酸味が口に広がる。
日本で育った綱吉にとっては、イタリアで一般的にクリスマスで食べられるドライフルーツが盛り込まれたパン生地のパネトーネよりもこの苺と生クリームのケーキを食べたときの方が、クリスマスが来た気がする。

「うん。おいしい」

にっこりとリボーンに笑いかける。
報われた努力に満足し、手伝ってくれた今は里帰りしているボンゴレお抱えのパティシエに感謝する。

 

 

イタリアのクリスマスは、日本の正月の感覚に近い。
24日までに買出しを行い、深夜から25日にかけての大聖堂でのミサ。
帰省し、25日の昼からは親類で集まり昼食会をして、26日のサント・ステファノの祝日を家族で過ごす。
翌年の1月6日までナターレの飾りつけは外されず、クリスマス気分がつづくのだ。

マフィアであるボンゴレもイタリアに拠点を置く以上、例外ではなく構成員の多くも今は帰省している。
今の綱吉の警護はリボーン一人が請け負い、屋敷内はひっそりと静まり返っていた。

流石に、昨晩のバチカンでのミサへの出席には、数名の警護を伴ったが、屋敷に帰ったと同時に任を解かせて帰省させた。
ボンゴレの十代目を襲名し、イタリアで生活するようになった綱吉だが改宗はせず今でも仏教徒(多くの日本人の例に漏れず形だけの、であるが)だが、ボンゴレの当主となった以上、バチカンとの関係は無視できないため、乞われるままにミサに参加し、法王に面会をしてきた。
法王は、あまりの綱吉の警護の少なさに驚いたようであった。が、カトリックの影響力の強いこの国でナターレに騒ぎを起こした者は、以後、信頼を失墜し表舞台に立つことはおろか、闇の世界ですら歩くことは出来なくなる。
そのような愚を起こすものは稀であり、何よりもリボーンが綱吉の隣に居る時点で、何者もボンゴレ十代目である綱吉に傷一つ負わせることは出来ない。


そんなわけで、25日と26日の二日間はボンゴレの屋敷は閑散とし、綱吉とリボーンと二人っきりとなる。
使用人すらも帰省させてしまうため、この間は二人で家事を分担せねばならないが、リボーンは言うまでも無く家事すらも完璧であったし、綱吉の方もビアンキの料理から逃れるために必死で奈々から料理を教わり、今ではそれなりの物が作れるまでになっていた。
もっとも、心配性の部下や使用人達により作り置きされた大量の料理を消費するのに精一杯で、腕を振るう機会は今のところ無く、のんびりとした時間が流れていた。

皆が家族で過ごすナターレだが、リボーンと二人っきりで過ごすことに不満は無かった。
綱吉にとって、12歳の時から共にすごして来たリボーンは家族そのものであり、今や家族以上の愛情を傾けるべきファミリーの一員でもあった。そして、最愛の相手。
仕事も緊急にメールで送られてくるもの以外は無く、二人っきりで居られるこの機会に何かを、クリスマスプレゼント以外で渡したかった。

食事は、拒否しても作り置きが用意されることはわかり切っていたので、ならばせめてとパティシエに頼み、25日の夜に食べる事が恒例になりつつある苺のショートケーキの作成を手伝わせてもらったのだ。

自分も作成にかかわったと解らなくて良い。
ただ、自分の作った何かをリボーンが口にする。
それだけで良かった。
自己満足であったが、綱吉は満たされた気持ちになったのだ。
普段は味わえない、自分が作ったものをリボーンが口にする幸福。
それだけで、今日という日を信じてもいない神に感謝したくなる。

 

 

ケーキをすくい、リボーンの口に運ぶ。
少し咀嚼した後に嚥下。

今度はリボーンがフォークを持ち、綱吉の口にケーキを運ぶ。

小さなワンホールケーキを互いに食べさせあいだしたのはいつ頃からだっただろうか。
もう思い出せないぐらいに、その行為は二人の間で当然の事となってしまっていた。でも、自分達はそれで良いのだと思う。
お互いが傍に居るのが自然で、共に居るのが当然。

「ツナ」

「なあに?リボーン」

シャンペンを一口。

「オレを想って、作ったのか?」

飲み下した後でよかった。
目を見開いた綱吉の顔を見て、黒曜の瞳がしてやったりと嗤う。

「お前の作ったものを、オレが解らない訳無いだろう」

その言葉に耳を染め、綱吉は目を逸らしたが顎にそえられたリボーンの手によって阻まれる。

そして落とされる、口付け一つ。
ナターレの夜は長く、祝福は平等に降りそそぐ。


Buon natale!!

PR
<<< PREV  → HOME ←   NEXT >>>
 更新履歴
02/22 [ Other ] OFF活動
12/27 [ Other ] OFF活動
12/27 [ Other ] OFF活動
M E N U