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+dilagare+プチオンリー主催中。

女性向き(BL等)、腐女子向け。『家庭教師ヒットマンREBORN!』の二次創作が中心です。

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  • 2024/05/06/00:40

L'amore che non è accettato

10年後、リボツナ。

リボーンの愛人になるのが夢なツナ。少々、大人表現あり。
守護者→ツナ・ツナ総受け傾向が強いです。

2008年9月15日のバンビーノにてオフ化しました。

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Desideri, esso


まだ気だるい肢体をベットに横たえたまま、既に身支度を整えつつある相手を見つめる。
向けられた背に、寂しいと想う事すら贅沢だ。
ただ、こうして抱かれる事すら僥倖だと言うのに。



Desideri, esso(望み、それは・・・)




「いってらっしゃい、リボーン。気を付けてね」

身支度を整え終えた彼にそう言えば、わずかに目元を緩めて額にキスを落とされる。
この後のリボーンの予定は、綱吉自身が命じた事だ。ボンゴレ所属のヒットマンであるリボーンは仕事には忠実であった。
正直、情事の後にはゆっくりして欲しかったが、出発の時間が迫っているのにも関わらず行為をねだったのは他ならぬ自分自身であった。
また、今日の仕事を命じたのもドン・ボンゴレである自分自身。
自業自得というものだろう。

だが、一週間ぶりに逢ったのだ。
すっかりリボーン自身に慣らされた綱吉の身体は、久しぶりの彼の匂いに我慢が利かずに雪崩れ込んだ。
暗殺者という職業柄、リボーンは香りをまとわない。
香水やタバコ等の嗜好品はは一切排除していたし、それらの匂いが残らないように気を配っていた。だが、それでも微かに香るエスプレッソの匂いや、身に染み付いた硝煙の匂いは消せるものではない。それでも側に居るだけならば気付かないほど薄められたそれらだが、身を寄せ抱き合えばどうしても吸い込む事となる。
以前は許されなかったその位置に、受け入れられているという事実が綱吉を熱くした。
リボーンが居ない間は成りを潜めていた熱が身を焦がし、綱吉の理性を溶かしていったのだ。

昨夜の痴態を思い浮かべると、恥ずかしさで死にそうになるが相手がリボーンであるからして許容できる。
リボーンには良くも悪くも、隠す事は何も無い。既に、綱吉の全てをさらしているのだから。

 

リボーンとの関係が始まったのは、綱吉達がイタリアに来て少しした頃であった。

ボンゴレ十代目に就任して何とかボスとしての体裁が整った頃、家庭教師の任から離れる事を告げられた。
それまで四六時中側に居て、寝食を共にした相手が居なくなる。それは、イタリアに来るとき以上の衝撃を綱吉に与えたのだ。
大好きだった京子ちゃんと離れるとき以上の衝撃を受け、そして自覚した。

リボーンの事が好きなのだと。

綱吉だって悩みはした。
同じ男同士だし、リボーンとの年齢差だって10歳以上なのだ。
自分は女の子が好きだし、仕事で時折見かけるようになったリボーンの愛人だって綺麗な女性ばかりだ。
そう、リボーンには愛人か数多く居た。
四番目の愛人のビアンキは見知ってはいたが、それ以外の愛人も見事に美人ぞろい。聞けば頭だって良いらしい。マフィアのボスからもぜひ妻にと、声が掛かるほどの上等な女性達ぞろいらしいのだ。
そんな彼女達が愛人に甘んじ、愛を捧げている男がリボーンなのだ。

改めてリボーンの凄さに感心すると共に、想うだけなら自由だろうと開き直ってしまった。
人間、あまりに掛け離れた存在を目の当たりにすると、望むことすら諦められてしまうものらしい。元より男同士。性に対して淡白な性質であった綱吉は、想う以上の行為が想像出来なかった事もある。
それに、綱吉の家庭教師から外れるといってもリボーンはボンゴレ所属のヒットマンだ。アルコバレーノという特殊な立場だが、ボンゴレ・ボスが命じれば依頼は受けるし、畑違いの護衛だって引き受けてくれる。
側でこっそり見つめていられればいいやと思っていた。実際、それだけで幸せな気分にひたれたのだ。
屈折十年。好きだった京子ちゃん相手にも見つめ続けるだけで満足していた綱吉にとって、それは苦でもなんとも無かった。

だが、今回の相手は読心術の使えるリボーンだった。
こちらの想いは筒抜けだったらしい。

リボーンを護衛にしての執務室での仕事中、いつものように(リボーンの事、やっぱり好きだなー)と思っていたら、いつの間にか直ぐ側にまで近づいてきていたリボーンに戯れに唇を奪われた(しかもファーストキスだった!)。
そして、あれよあれよという間に押し倒されて抱かれていたのだ。
余談であるが、綱吉はこの時初めて同姓同士でも性行為が出来るという事を知った。

初めてだというのに、リボーンを自身の中に受け入れて思う様喘いだ記憶はある。
・・・リボーンはそちらの方面でも一流だったのだ。
無論、好きな相手にされているという事も、ツナに快楽を与えた一因であろう。

それ以来、ツナはリボーンへの想いを隠さなくなった。
どうせ隠しても解かってしまうのだ。ならば隠すだけ無駄な努力である。

リボーンが綱吉を抱く気になった理由は解からなかったが、大方の想像はつく。
気まぐれと、好奇心と、同情だろう。
美しく賢い愛人が多数居るのに、平凡顔で貧相で物覚えの良くない自分を抱くなどそれ以外考えられない。リボーンはいつもその時の気分で行動を決めていたし、新しい知識をいつでも得ようと行動していた。後は、たまたま何年も同じ部屋で寝食を共にしていた相手が懸想してきている。その時、下がりがちだった作業効率を上げる為にも一番良い方法と判断したのだろう。
事実、その後の綱吉の仕事ぶりはすさまじかった。

気まぐれと、好奇心と、同情ゆえの行為。

それでも綱吉は嬉しかったのだ。
リボーンが綱吉を抱いてくれる事が。普段、乱れる事のないリボーンが綱吉の中に押し入った時に、汗を流し快楽を感じてくれる事が。
それだけで満足だった。
だが、人間というものは欲望に際限が無い。

初めは抱いてもらえるだけでよかった。
何が良かったのか、それ以来リボーンは何度もツナの寝室に足を運び、抱いてくれた。情事後、直ぐに出かけてしまうため朝を過ごした事は無かったがそれでも良かった。
だが、年を重ねるにつれ物足りなくなっていく。
リボーンはツナが求めれば答えてくれるが、それだけだ。
求めなければ、リボーンは何も与えてくれなかった。

綱吉はリボーンに求められたかった。

リボーンを愛する事を許され、リボーン自身の意志で愛をあたえられるそんな存在。
そう、綱吉はリボーンの愛人になりたかった。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
何とか始動。
締め切り目指して頑張るぞー!

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ragione di pregare per


欲しいものは何?
そう問われれば、真っ先に出てくる答えが「リボーンの愛人と言う立場」であった。
大それた望みなのは解かっている。だが、望むだけなら自由であろう。
綱吉はそう考えていた。
 

ragione di pregare per(願う理由)




翌日、起床時間に起こしに来てくれた隼人に礼を言いつつ身を起す。
事後に、動けない綱吉の代わりに残滓はリボーンが綺麗にしてくれるとは言え、情事の跡はどうしても残る。リボーンに快楽を注がれた身体は艶めいていたし、何より寝着の間から覗く鬱血痕が物語っていた。
それでも優秀な右腕は、頬を染めつつも何も言わずに綱吉の身支度を手伝ってくれる。友人でもある獄寺に身支度を手伝わさせるのは未だに抵抗はあるのだが、カフスやらの細かい装飾品を一人で身に付けられない為、しぶしぶ受け入れるほか無い。
こう言った装飾品類は、自分で身支度を整えないで良い身分だという証明であるため出来なくとも問題は無いのだが、申し訳なく思う気持ちは止められない。
なにせ綱吉は平凡な一般家庭に育っているのだ。
上げ膳据え膳はどうしても慣れない。
だがドン・ボンゴレと言う立場上、避けては通れない。
せめてと、もう少し情事の痕跡を無くせないかとリボーンに言ってみたのだが、その分濃厚な夜を過ごされた為、諦めた。

・・・何せ、翌日起き上がることさえままならなくされたのだ。
その上、勘違いした隼人が医師団を召集しようとするし、真っ赤になりながら何とか事の次第を説明した後も食事の世話やらなんやらと気を使われて、非常にいたたまれない思いをした。
その日、出かける約束をしていたザンザスはキレるは、ボスと右腕が不在の折に、たまたま本部に来ていてこれ幸いと業務を一手に請け負わされた恭弥が殴りこんでくるわで大変だったのだ。
もちろん、リボーンはとっとと居なくなっており事態の収拾は全て綱吉が行った。無論、動けるようになってからの為、散々暴れまわられた後始末に苦労した綱吉は、二度とこの件についてリボーンに頼まないと誓ったのであった。

 

身支度を終え、朝食を食べながら本日のスケジュールを聞く。
テーブルの上には、前日、リボーンが戻って来ていた事を知っている隼人が半熟卵のスクランブルエッグにトロトロに煮込んだ野菜スープ、摩り下ろし林檎のジュースと消化の良いものを用意してくれていた。
あまりの気の使いように、何度目か解からないいたたまれなさを感じるが正直、非常に助かる。ほぼ一晩かけて翻弄された身体は、数時間の睡眠では回復できないほど疲労していたし、喘ぎ疲れた喉はかすれてものを飲み込むのが辛いほどであったのだ。
感謝と申し訳なさを込めて隼人に礼を言えば、至極嬉しそうな笑顔を返される。
年を経ると共に落ち着き、貫禄をにじませる様になった隼人だが、こういったふとした瞬間に見せる表情は変わらない。


朝食後、執務室に向かうとそこには既にランボが控えていた。ドン・ボヴィーノからの親書を持ってきてくれたらしい。
昼になれば武が食事の誘いに来るだろうし、午後の休憩時には了平さんが鍛錬の誘いに来るかもしれない。骸はたまにしか現れないが、他の守護者が居ない隙を見計らってお茶を飲みに来るし、恭弥は抗争の種を見つけてはふらりとやって来て、たまに気が向けば業務の手伝いもしていってくれる。
そのまま穏やかに一日が過ぎることもあれば、運悪く口論になり喧嘩が勃発する事もある。
中学の時と変わらない日常。
だが、そこに一つだけ足りないものがあった。

真っ黒で物騒な赤ん坊。
一番最初に綱吉の側に来て、一番身近に側に居たリボーンが居ない。

元々、綱吉の家庭教師を辞した時からあまり本部を訪れる事が少なくなったリボーンだったが、綱吉と関係を持って直ぐから用が無い時以外は寄り付かなくなったのだ。

何年も前、日本の並盛の家で過ごした騒々しくも穏やかな時間を想うと、胸が苦しくなる。
あの頃は気が付けば直ぐ側にリボーンが居て、騒動に巻き込まれつつも「リボーン!」と呼べば「何だダメツナ」と呆れながらも答えてくれる彼が居た。
あれから何年も経ち、赤ん坊は少年そして青年へ。
綱吉はリボーンの宣言どうりにマフィアのボスになり、何万と言うファミリーの命を預かる身となった。
昔と同じようには行かないだろう。

だが、時折思ってしまう。
もし、あの時綱吉がリボーンへの想いを自覚しなければ。もし、あの時綱吉がリボーンに抱かれなければ、彼は今までのように家族の様に側に居てくれたのではないだろうか。直ぐ側に居て、手は触れれずとも視界の端には必ず居て。
そうすれば、この時折訪れる寂寥感を感じずに済んだのではないだろうか。
何度、思ったか知れない。

それでも、綱吉はリボーンとの関係を終らせたいと微塵も思わなかった。
時計の針が元に戻らないように、一度関係した自分達が元に戻らないことを直感していたからだ。
戻らないならば、進めるしかない。
リボーンの愛人になる事が叶えば、また今とは違う関係に進めるかもしれないと綱吉は思っていたのだ。


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
綱吉の想い。

願う理由

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inaspettato


ボンゴレの、嵐の守護者であり当代の右腕でもある獄寺隼人にとって、ボスであり敬愛する綱吉の望みを叶える事は、自身の望みでもあった。
たとえ、それが自分の意に反することでもあってもだ。

だが、これは予想外であった。



inaspettato(予想外です)

 

さらさらとペンを走らせる音のみが響く執務室内。
チラリと見上げれば時刻は午後の六時。
今回リボーンに依頼した仕事は簡単なものである為、あと数時間もしたら帰ってくるだろう。リボーンは任務への出立時と、終了時の報告だけは欠かさない。
その事につけ込んで、時々こうした短期の任務を与えてしまうのは姑息な手段だが少しでもリボーンとの接点を増やしたい綱吉にとっては懸命のアプローチの一つである。それ以外、リボーンが訪れて来てくれる理由が悲しいかな綱吉には思い浮かばなかったのだ。
その懸命につくった接点を少しでも長くするべく、綱吉は本日の業務を必死にこなしていた。
イタリア最大級のマフィアのボスだ。少ないとは言えない仕事量だが、頑張ればリボーンが帰ってくるまでには終えているはずであった。最近は、綱吉がリボーンとすごしたいが故に執務を頑張る為、ボンゴレの業務は少し先の案件まで処理済だったりする。
だが、綱吉が頑張れば頑張るほどリボーンは喜んでくれたし、頑張って次の仕事を片付けない事にはリボーンに新しい任務を与えられない。
次の任務が無ければ、リボーンとは次にいつ逢えるか解からないのだ。
いったん連絡が途絶えてしまうと、リボーンと連絡を得る事は難しい。
一応、綱吉はリボーンからプライベート用の電話番号を教えられてもいるのだが、リボーンと愛人の時間を邪魔する事が怖くて掛けられない。一度、どうしても連絡を取らねばならない時に勇気を振り絞って掛けた時、微かに聞えた女性の不満そうな声に、萎縮してしまったのだ。それ以来どんな用があろうともリボーンの番号に掛ける事を辞めてしまった。
リボーンの寵を得ている女性。
それだけで、綱吉にとっては誰よりも控えるべき相手であった。
それでも今まで何とかなっていたのは、重大な問題時にはそれとなく察したリボーンが自ら足を運んでくれたからに他ならない。

後もう少し、そう思っていた時に一回のノックだけで主が入室の許可出す前に、執務室の扉が開けられた。
ドン・ボンゴレ相手にそんな事をするのは限られてくる。
案の定それを許された内の一人であるリボーンが執務室に入ってきた。

「リボーン!!」

手にしていた書類をそのままにして、綱吉は立ち上がる。
まだ、リボーンに次の仕事を与えられるほどに仕事は進んでいないが、何よりも愛おしい相手の帰還である。
喜ぶなと言う事が無理である。
たとえ数時間前に逢っていたとしても、好いた相手だ。何時間共に居ても、居たりない。

「早かったね、リボーン。怪我は無い?」

首尾を聞くよりも先に、安否を確かめてくる綱吉に苦笑しつつもリボーンは答える。

「オレがヘマする訳ねーだろうが」

その言葉を聞いたとたん、心配顔だった綱吉がにっこりと微笑んだ。

「知ってるよ。でも、心配ぐらいさせてよ」

最強のヒットマン・リボーンにこんな口を利いて、許されるのは綱吉ぐらいだろう。
握り締めたままだった書類を置くと、リボーンに着席を勧めて綱吉は室内に備え付けられたエスプレッソマシンに向かう。
二人っきりの執務室、二人の間を隔てるのは執務机のみなのだが、その距離を縮めるのに毎回綱吉は苦心していた。
さり気無く、引き留めているのを知られないように着席を勧めてリボーン好みのエスプレッソの用意をする。
その行為は何年経っても慣れない。自分の浅はかな手管を自覚しているからかもしれない。それでも、無駄な足掻きとは思いつつもリボーンを引き留める事は辞められなかったし、側に寄る事も辞められなかった。
直ぐに出来上がった“急行”の意味を持つ飲み物をリボーンの前に置き、さり気無く隣に腰を下ろした綱吉だがリボーンの嗤う気配に頬を染める。
リボーンはこの、綱吉の拙い媚態に気付いているのだ。

「報告は聞かないのか?」

気付いていてこんな事を聞いてくるのだから、性質が悪い。
思わず上目使いで睨むが、威力は見込めないだろう。昨夜から今朝に掛けて、リボーンに愛された身体は未だに熱を持ち、綱吉の瞳を潤ませていた。

「解かってるくせに」

そう言えば、喉を鳴らすような笑い声のみが返される。
そのまま、腰を抱き寄せられて口付けを落されれば、後は夢中になるだけだ。
何度も、何度も角度を変えて口付けを交わす。
時折、撫ぜられる背や首筋に、ふるえが止まらない。
火が灯りそうな身体を叱咤して、これだけはとキスの合間に声をこぼす。

「リボーン・・・、好きだよ。愛して、る・・・愛してるよ」

たとえ、この言葉に返される事が無いと知っていても紡がずにはいられない。
言う度に激しくなる口付けに、切なくなりながらも互いの熱を確かめ合った。

 


執務室から漏れ聞える衣擦れの音に、当代の右腕はボンゴレ所属・最強のヒットマンの帰還を知る。
リボーンさんが一緒の時は、可能な限り二人っきりにするのは右腕としての仕事の一つだ。最近では忙しいようで、滅多に共に過ごす事の無い二人の時間を邪魔しない事は当然の責務。
綱吉のためならば隼人はなんでもする覚悟であった。
嵐の守護者であり綱吉の右腕でもある獄寺隼人とて、大勢居る綱吉に懸想する人間の一人でもあったが、彼にとって綱吉は恋や愛といった想いをいだく前に、尊敬し守護すべき相手であった。
また、一番近い場所で綱吉を見てきた獄寺は、綱吉が誰の事を想っているのかも知ってしまっていた。
獄寺にとって一番に優先すべきは綱吉であって、自分では無い。
その為、その綱吉が望んだ相手に対して不満等は無かった。相手が、あのリボーンだったこともある。
綱吉を見つめていた獄寺は同時に、常に綱吉の側にいて彼を影ながら守るリボーンを見て来ていた。その為、リボーンの綱吉に対する想いも行動の端々から感じ取っていた。
その為、二人の関係を疑問に思う事などなかったのだ。
リボーンが居なくなった後、残された綱吉が漏らした言葉を聞くまでは。

「リボーンの愛人になりたいな・・・」

獄寺が守護者全員に、緊急招集をかけたのは言うまでもない。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

・・・進まない・・・。

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fatto del colpo


まさかこんな事態になるとは思っていなかった。
後悔先にたたず。
ま、いずれは解かる事だ。それが少し早いか遅いかだけのこと。
それにしても、以外だったのな。
あの二人が知らなかったなんて。
 

fatto del colpo(衝撃の事実)



守護者会議。

それはボンゴレの幹部の中でも、ボンゴレ・リングを受け取り守護者となり、尚且つそのリングに炎を灯す事が出来た者だけが参加を許される会議。
準幹部や、守護者以外の幹部からは憧れや敬意を込めて“円卓会議”などと呼ばれることもある。
本来はボンゴレの危機や、大規模な抗争の時にドン・ボンゴレによって招集されるものであったが、最強と言われた初代の再来と言われる当代のドン・ボンゴレ十代目の治世において、全守護者の召集を必要とするほどの問題が起こる事など無かった。
最近では、もっぱら守護者筆頭である嵐の守護者の下、ドン・ボンゴレ十代目に害する者への対策を講じる為のものと化していた。
ドン・ボンゴレ十代目に下心を隠して近づいてくる余計な人物を排除して、綱吉に快適な日常を提供するのが近年の会議の議題であった。

最近の功績としては、麻薬を使い急速に新興してきたアッズッロ・ファミリーや、ボンゴレと同等の格式を持つドゥーロ・ファミリーを壊滅させた事だろう。因みに、両ファミリーのボス共に壊滅する直前に綱吉に誘いを掛けていたことを記しておく。

ドン・ボンゴレ十代目である沢田綱吉はモテる。
日本人であると言うだけでもアプローチに事欠かないと言うのに、母親である奈々譲りのベビー・フェイスに何者をも許す大空のような微笑。加えて若くして、巨大ファミリーのボスだと言うのに、そんな事を微塵も感じさせない物腰。
女性ならば間違い無く結婚相手に望まれ、男性ならばその人間性に惚れて忠誠を誓う。たまにそれが高じて、ボンゴレと言う牽制材料があろうとも歪んだ欲望を満たそうとする輩も居るのだ。


この日、突然の非常召集にも関わらず守護者全員が会議室に集合した。
普段から、忙し守護者達だ。全員が集まる頃には既に夜も更けていた。
常ならば満場一致で議題に上がった人物の撲殺・・・もとい、抹殺が決定されすぐさま実行されて終わるのだが、今回はそうもいかなかった。何せ綱吉自身が「愛人になりたい」と望んでいるのだ。しかも相手は元家庭教師のリボーンだ。
相手がリボーンであると言うだけならば問題は無い。多少、骨が折れるだろうが守護者全員でかかれば何とかなるだろう。強敵相手に怯むどころか嬉々として向かう様な者ばかりだからである。
だが、問題は綱吉が望んでいると言う事だ。
議論は数時間にもおよび、紛糾した。

 

「何を悩む必要があるんだい。問題無いよ。赤ん坊を噛み殺せばいい」
雲の守護者である雲雀はトンファーを構え、今にも会議室から出て行きたそうなそぶりを見せていた。彼は、今回の話を聞いた当初から不快そうに顔を顰めていたのだ。
その、今にも出て行きそうな雲雀を止めたのは守護者筆頭の獄寺だ。
「馬鹿野郎。それじゃあ、十代目が悲しむだろうが」
獄寺にとっては当然の考えだろう。彼にとっての絶対は綱吉であり、自分の感情は必要無い。ただ、望みを適えるだけだ。唯一つ、難を唱えるなら綱吉を“愛人”と言う日陰の立場に置かせる事であろう。そんな事は綱吉至上主義の獄寺に許せる事ではない。そんな事をさせない為の、今回の守護者召集なのだから。
そんな獄寺の考えに、異を唱える者が居た。
「俺も、雲雀に賛成だな。ツナを愛人になんてさせられる訳無いだろう?事の発端である小僧を消せば良い」
雨の守護者であり綱吉の親友でもある山本が、時雨金時を光らせながら異を唱える。顔は普段と変わらないのだが、目が剣呑な光りを放っていた。山本は一時期、リボーンに師事していたこともあるが、所詮綱吉大事。二人を比べたら綱吉に比重が傾くのは当然であった。
だが、それに反対するものが居た。
「だが、最近まで寝食を共にしていた相手だぞ。彼が居なくなったら沢田は泣くだろう」
そんな晴れの守護者である笹川の意見に、霧の守護者であり幻術使いの骸が反対する。
「アルコバレーノを亡くして、弱った綱吉君ならば幻覚も容易く効くでしょう。問題は、ありませんよ」
言外に、後のフォローは心配無いと言われ、その骸の言葉にリボーンと対峙する事が決まりかけた時に、最後の守護者の声が掛かる。

「・・・あの、ボンゴレとリボーンって付き合ってるんじゃなかったんですか?」

その言葉に会議室の空気が止まる。
至極当然な事を、雷の守護者であるランボは言ったつもりだった。
長年、リボーンとツナと一緒の家で暮らしていたランボにとって今更なことだ。二人の醸し出す雰囲気は熟年夫婦の域に達していたし、イタリアの地に来てからそれは更に深まったように思えたからだ。リボーンの牽制も半端ではなかったのだ。
無論、綱吉のにべったりの守護者全員も知ってると思っていたのだが事態は思わぬ方向に進んでいった。

「何バカ言ってんるんだい。無垢な綱吉が、たとえ赤ん坊とでも男と付き合うわけ無いだろ。むしろ、女でもありえない」

「牛は所詮、牛頭と言う事でしょうか。綱吉君がアルコバレーノと付き合ってるだなんてたとえ冗談でも言うもんじゃありませんよ」

守護者史上、最強最悪の組み合わせと言われる霧と雲の意見が一致していた。
こんな事は滅多にあるものではない。
普段、何があろうとも互いの意見を否定しあうのがこの二人のデフォルトだからだ。
だが、今回に限っては一致して欲しくなかった。・・・後の被害拡大が想像できるからだ。
リボーンと綱吉に関係が有ることは、流石に常に綱吉の側に控えている獄寺や、始終遊びに来る山本は知っていたし、笹川ですらも妹の話が出ても綱吉が沈まなくなった事で何となく察していた。むしろ、綱吉への執着を隠さない雲雀と骸が知らないことのが意外であった。

が、よく考えれば、当然かもしれない。
雲雀は、気が向いたときにしか本部に来ないし、骸は綱吉が一人で居るときにしか来ない。
雲雀は、前回綱吉が足腰が立たなくなった時に居たのだが、どうやらこの様子を見るに体外的に公表した体調不良を真に受けていたらしい。(実際、体調が悪かった事には変わりない。原因がウイルスか人物かの違いであって)
獄寺と山本、笹川とランボは微妙な表情で互いと目線を交し合った後、意を決して腹をくくった獄寺が口火を切る。

「よく聞け、二人とも。お二人は数年前から付き合っていらっしゃる」

初めは笑い飛ばしていた二人(あの、凶悪な二人がさも楽しそうにしているだけでも恐怖だ)だが、四人の真剣な表情に次第に顔を引きつらせて六道骸が聞いてくる。

「・・・因みに、そうだと仮定して、もちろん、Aまでいってないですよね?」

どこの小学生だ、と他の守護者が珍しく突っ込みかけた。だが、雲雀も同意見の様で、必死に頷き返しているのを見て彼らが本気なのだと分かった。


「リボーンさんと十代目はAどころか行き着くとこまで、Zまでいってらっしゃる」

そんな非情な極寺の言葉が終わるや否や、ボンゴレ総本部の一棟が吹き飛んだ。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
雲雀さんと骸さんのFanの方ごめんなさいぃぃ;;;;。

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Scoperta


ボンゴレ、・・・流石にそれは可哀相だと思います。

でも、ツナに甘えてちゃんと気持ちを伝えてなかったあいつも悪いんだから、お相子ということでしょうか。
たとえ、あなたの隣に並ぶのが自分でなくとも、あなたが微笑んでいられるのなら、それで良いんです。
我慢・・・・・・・・・、出来ないよ!!ツナァ―――――!!!!
 

Scoperta(発覚)

 

その日の朝、綱吉は機嫌が良かった。
あの後、そのまま事に及んでしまった為リボーンに、次の仕事を与える事は出来なかったが少し先の案件まで処理済と知ったリボーンは褒めてくれてご褒美に朝まで一緒に過ごしてくれたのだ。
この事に綱吉は一気に舞い上がった。
今まで情事の後、朝まで綱吉の傍で過ごすことがなかったリボーンが同じベッドで、しかも抱きしめて過ごしてくれたのだ。リボーンをボンゴレ十代目として拘束しているのにもかかわらず、それ以上に朝を共に過ごして人生初の夜明けのエスプレッソまで飲んだのだ。
その上、せっかくだからと翌日をオフにして朝食を共にとった後、あまり腰の立たない綱吉は部屋で過ごすことにしていたが、仕事の無いリボーンも所用を片付けた後にまた来ると約束してくれた。
これほどまで長い時間を過ごした事は、リボーンが家庭教師を辞してから初めてのことだ。
まさに、人生最良の日といって良いだろう。

まるで愛人のように、いやそれ以上かもしれない。
そんな時間を大好きなリボーンと過ごせて、綱吉は胸がいっぱいであった。

そんな幸せな気分で、リボーンが帰ってくるまでに少しでも仕事を進めておこうと書類を読んでいると大きな音と衝撃が鳴り響いた。

ボンゴレの本部は、基本的に古い城を改築したものだが、所々に手を入れて最新の設備を整えていた。
無論、防音に耐震はかなりの強度にも耐えられるようにしていたのだが、それ以上の衝撃に緊急事態かと、綱吉はベットから降りると今にも崩れ落ちそうな腰に鞭打って、グローブを手に音のした方角に急いだ。

音の発生源は容易に知れた。
何せ、棟一つが見事に破壊されているのだ。
否、現在も破壊中であった。

破壊活動の原因は自分の守護者二人。
雲の守護者、雲雀恭弥。
霧の守護者、六道骸。
普段この二人が喧嘩しているのなら、いつものことと受け流すのだが今回は違った。
互いが拳を交えるのではなく、一緒になって屋敷を破壊しているのだ。
しかも半狂乱で、泣き叫びながら。

あの二人がである。
常に自分の好きなように行動して、好きなように振舞う。唯我独尊のリボーンの次に自分勝手なあの二人がである。・・・いや、理不尽具合は同じかもしれない。
取りあえず、その最凶な二人をあんな状態に持ち込むなどよほどの事が起こったのだろう。しかも普段、間違って顔を付き合わせれば直ぐに互いに刃を交わす二人が、互いを無視して破壊活動を繰り広げているのだ。
原因が思い当たらずに、しばし悩みかける。
が、そこでようやく隅の方で縮こまっている他の守護者達に気付く。

「・・・ど、どうしたの」

そう声をかけた所で、本日は珍しく姿を見せなかった右腕に声を掛ける。
今日、正確には昨日リボーンが帰ってきてから姿を見せなかった隼人だが、こんな所に居たらしい。
珍しくも綱吉の存在に気付かずに呆然としていた獄寺だったが、綱吉の声を聞くや否やすぐさま振り返り、答えようとする。だが、同時に綱吉の声に気が付いた骸と雲雀の二人も動きを止めた。

あ、ヤバイ。

二人のその動きにそう思ったが、どうにもならない。二人から発せられる鬼気とした殺気に動けずに固まる。
ドン・ボンゴレとなって数年。
ここまで、綱吉を動けなくさせる殺気はここ数年無かったなぁと現実逃避しかけるが、その逃避を許してくれるような相手ではなかった。

「・・・綱吉」
「・・・綱吉君」

二人の血走った瞳に戦きつつも何とか声を返す。
こんな姿をリボーンに見られてたら「情けない」と再修業をさせられそうだが、仕方ないだろう。それぐらい二人の形相は凄まじかったのだ。

「赤ん坊「アルコバレーノと関係が有るって本当ですか!?」」

その言葉に綱吉は不思議そうな顔をした。

「・・・元家庭教師とその生徒だけど・・・?今はファミリーのボスとその最強のヒットマンだし」

関係と言われて元家庭教師と生徒という事は知ってるだろう、何を今更と綱吉は思ったのだ。
綱吉の鈍さを失念していた骸は言い直す。

「肉体関係が有るかどうかです!!」

「ちょっと!僕の綱吉にそんな生々しい事言わないでよ!!」

骸の言葉に真っ赤になった綱吉が答えるよりも早く、雲雀が反論する。
ついでにトンファーも骸へと繰り出された。

「これぐらい言わないと、綱吉君は解からないでしょうが!」

骸は反論の後、雲雀の一撃を出現させた三矛で受け止めついでにこちらも負けじと攻撃を仕掛けた。

「そんな直接的な言葉だと、純粋な綱吉が困るでしょう!!」

その言葉に、一瞬怯んだ骸が雲雀の一撃を受けてしまうが、直ぐに立ち直り反撃する。


いつものように突然始まってしまった二人の衝突に、矛先が変わったことにほっとしつつも、とうとうこの時が来たかとも思う。
綱吉自身がリボーンへの想いを隠していないため、周りの人間に自分とリボーンの関係が知られるのは時間の問題だった。
綱吉とリボーンに肉体関係が出来てから何年。いつかは聞かれる時が来るだろうとは予想していたが、やはり正面切ってたずねられると言葉につまる。
それに立場上、跡継ぎの問題もあるのだ。本来なら、同性であるリボーンにうつつをぬかしている場合ではない。
だが、どうしてもリボーン以外の相手とその気になれなかったのだ。
未婚の上に、愛人を一人も持たないボスなどマフィア界で綱吉ただ一人だけだろう。

後ろの方で隼人が「スミマセン十代目!!!」と言ってるが、謝るべきは自分であろう。取りあえず、落ち着いて話し合えないかと思っているところに、ランボから声が掛かる。

「すみません、ボンゴレ。獄寺氏にボンゴレがリボーンの愛人になりたがってると聞いたものですから、俺たち、居てもたってもいられずに・・・」

ランボの言葉に、少し頭が冷えた。
ふと気が付けば、骸と恭弥も真剣な表情でこちらを伺ってるではないか。
確かに、マフィアのボスがファミリーのヒットマンの愛人になりたがるなど言語道断だろう。だが、綱吉にとってリボーンの愛人になりたいと望むことはもはやライフワークのようなもので、今更その想いを止められるはずがなかった。
だが、事態は思いもしない方向に動きだした。

「・・・ツナ」

仕事に出て、この場に居ないはずのリボーンの声が室内に響いたのだ。
綱吉が驚いて振り向けば、微かに残った壁で元が入り口だと判断できる位置にリボーンが立っていたのだ。いつの間にか、リボーンの帰ってくる時間になっていたらしい。
リボーンがいつから居たのか判らないが、彼の強張った表情を見るに今の会話を聞かれたのは間違いないだろう。
それは次の言葉でも明らかになった。

「お前、オレの愛人になりたいのか?」

そう、綱吉はリボーンの愛人になりたかった。
ただでさえ、美人で頭の良い女性を数多く愛人にしているリボーンにとっては、綱吉はお情けで抱いてやった相手に過ぎず、ましてやそんな相手を愛人にするなど考えもつかないことであろう。
だが、リボーン自身に問われた事で、怯みつつも綱吉は頷いて答えを返す。
それは、一生分の勇気を使い果たす程の事であったが、その想いが報われる事は無かった。

「・・・この、ダメツナが―――」

そう、どこか唖然としたように言うと、リボーンは綱吉に背を向けてその場を去ってしまったのだ。

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本当に、二人のFanの方々ごめんなさい;;;。

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fraintendimento


沢田―――――!!
たとえ、こんな世界にいようとも相手を思いやる優しさを忘れないお前のことは、凄いと思うぞ!!
だがな、思い悩んで時々変な方向にそれが発揮されるのは頂けない。
時にはガツーンと正面からぶつかって行け!!
それが男と言うものだ!!
 

fraintendimento(曲解)



リボーンと幸せな朝を過ごしてから一ヶ月が経っていた。

あの後、破壊された会議室の前でのやり取り以降リボーンは綱吉の元を一度も訪れなかった。
結局、あの騒動でリボーンに次の仕事を与える事はできなかったし、姿を見せないリボーンを呼び出してまで片付けて欲しい仕事などは無い。
そうなると、お手上げだった。リボーンが気が向いて執務室に足を向けるか、ボンゴレに深刻な問題が発生するしか彼に連絡を取る理由が無い。
ここ最近、忙しい訳でもないのにリボーンに休暇らしい休暇を与えていなかった事も、連絡をつけれない理由の一つであった。

執務室で書類を片付けながら、チラリと壁に掛けられたカレンダーを見る。

何度見ても、逢えない日が縮まる訳が無かった。
逢う事が出来なければ、この間のことを謝る事もできない。
綱吉は、リボーンのダメツナ発言を「何、大それた事を言ってるんだ」と受け取っていた。
確かに、ダメツナの自分がお情けでリボーンに抱いて貰えているのに、それ以上を望むのは虫が良いというものだろう。リボーンだって、怒って当然だ。
ましてや秀でたところなど一つも無くて、しかも男の自分があの完璧なリボーンの愛人になどなれる訳が無い。
冷静な頭で考えれば直ぐに分かるはずだ。
だが、恋は盲目。
その上、数刻前まで彼と幸せな時間を過ごしていたのだ。もしかしたらと、綱吉が期待してしまったのも致しかた無いだろう。
そう考えた綱吉は、今更ながらに綱吉はあの時の自分を燃やしてしまいたくなっていた。

これまでだって、リボーンを怒らせた事はあったし連絡がとれなくなる事もしばしば有った。
だが、これほどの長期間リボーンが訪れなかったのは初めてだ。
大概は、休暇に飽きたリボーンがからかいまじりに綱吉の元を数週間と置かずに来て、からかわれていつもの二人に戻っていた。そして、時間が許せば寝室で共に過ごしていたのだ。

だが、この一ヶ月リボーンの音沙汰は無い。
それほど、綱吉の「リボーンの愛人になりたい」と言う望みは彼にとって許しがたい事だったのだろうか。
もしかしたら、リボーンに捨てられて抱いてさえしてもらえなくなるかもしれない。
その考えは綱吉を絶望させた。

何も、綱吉は男に抱かれたいわけでは無い。
綱吉は基本的にはノーマルなのだ。
リボーンを好きになったが為に抱かれているが、女の子が好きだ。抱かれるよりも抱く方が好きだ。・・・リボーンに開発された事で、その意識は揺らぎつつあるが。
正直、リボーン以外の男性と性行為をするなど考えたくも無かった。
だが、危機である。

大概の人は、身体だけの関係は虚しいと感じるだろう。
だが、綱吉はそうは思わなかった。
たとえ、義務感からだけでもリボーンが綱吉だけを見つめ、綱吉自身で快楽を得ている様を感じるのが幸せだった。
自分とリボーンの関係は側から見れば歪んでいるだろうが、綱吉はそれで満足していた。
・・・それ以上を望みはしたが、それでも綱吉は幸せだったのだ。

その、唯一の関係が無くなってしまうかもしれない。
そう考え焦った綱吉は、すぐさま机の上のパソコンを起動させて解決策を探し始めた。
綱吉は恋愛経験が少ない。もっと言ってしまえば、今まで恋人を作ったことは一度も無かったし肉体関係など男女共にリボーンが初めてだったのだ。因みに中学生時の憧れの同級生・笹川京子は憧れだけで終わっている。
仲直りの仕方など検討もつかなかったのだ。
リボーンと自分の関係を一般的になんと言うのか分からなかったが、性交渉のある相手との仲直りは性交渉が一番だと言う事は調べられた。
今までとは違うシチェーションや、体位を・・・云々と調べた辺りで挫折してしまったが。

今まで、シチェーションなど考えた事も無かった。ましてや、性技など磨いた事など無い。いつもキスから始まって、そのまま行為に没頭していたのだ。
・・・もしかしたら自分は俗にいう“マグロ”と言うやつではないだろうか。
抱いてもらっている立場でその上、奉仕までさせている。最悪じゃないか。リボーンに呆れられても文句は言えないだろう。
こうなったら腹を括って、誰でも良いから相手をしてもらい技術を磨くしかない。リボーンに捨てられない為にはそれしかないと考えた綱吉は、しばらく考えた後おもむろに内線を繋げ、自身の霧の守護者である六道骸を呼び出した。
そして、綱吉の呼び出しにいつに無くすぐさま現れた彼に告げたのだ。


「骸、俺を抱いてくれないか?」

丁度、綱吉に飲み物を運んで来てその言葉を聞いてしまった獄寺隼人の悲鳴が、ボンゴレ邸全体に響き渡った。

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ようやくここまで来た・・・。

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appetito・・・!

綱吉、彼といつから関係が有るかなんて聞かない。
だとえ、どんな相手と付き合ってようが、君の価値が下がるわけじゃない。
出きる事なら僕が、その相手になりたかったけどね。
どんな相手だろうが、君が幸せならそれで良いよ。
辛い思いをしたならいつでもおいで。そして、大事に大事に慰めてあげる。
でもね。その男だけは止めてよね。
ま、心配しなくても、その内僕が噛み殺すけど。

 

appetito・・・!(いただきま・・・!)

 
 

綱吉が骸を相手に選んだのは、特に意味があった訳ではない。
イタリアに着てから、東洋人であると言うだけでその手の誘いは色んな相手から受けてはいた。リボーンはその事も有ったから、男同士の性行為を教える為もあって、綱吉を抱いてくれていたのだろう。

そんな綱吉であるから、性技を磨く為の相手など選り取り見取り、選びたい放題であった。もっとも、既にリボーンの手練手管を注ぎ込まれてきた綱吉は、教えを請うまでもないのだが。

だが、繰り返すが綱吉はノーマルのだ。
同じ男の裸を見て興奮できる性癖ではない。
むしろ想像だけで、吐き気がこみ上げる。
実際、しつこく誘ってきた相手に向かって、その日摂取したもの全てを吐き出した覚えがある。(因みにそのファミリーは、翌日には壊滅していた)

そうであるからして、今まで誘ってきた相手とホニャララするのは無理である。誘ってきた相手も、大半がほとんど壊滅しているので心当たりが有るのは数人だが、想像しただけで気分が悪くなった。
基本的にマフィアのボスと言うものは、ご年配が多い。
中には自己鍛錬を怠らずに、渋く格好が良いボスもいる事は居るのだが、大体が貫禄のついた方々が多い。因みに、貫禄はお腹の大きさであったりもする。
そんな年配のお腹の出たしまりの無い顔つきの相手となんて想像もしたくないだろう。

それに、大ボンゴレに言い寄るような命知らずな人物は、新大陸や新興勢力等のあまり親しくない相手だ。渡伊して来て直ぐの頃とは違い、同盟ファミリーやイタリア系のマフィアはドン・ボンゴレ十代目の実力を嫌と言うほど知っているため、間違っても誘いなどかけて来ない。
そんな親しくない相手など、遊びで身体を重ねられるほど擦れてない綱吉には無理であった。


それならばと、申し訳ないが身近な人間で想像してみた。

まずは右腕として常に側にいてくれる獄寺隼人。
彼ならば、自分のどんな我侭でも叶えてくれるだろう。
だが、獄寺君はアンダーボスとして忙しい身の上だ。自分の我侭で彼の貴重な時間を潰すわけにはいかない。そして、断れない相手に頼むのは卑怯だと思ったのだ。
・・・実際、獄寺隼人がこの考えを聞いていたら、涙を飲んで悔しがっただろうが。

次に、左腕として親友として支えてくれている山本。
だが、彼は生粋のド・ノーマルである。イタリアに来た当初、日本人と言うだけで誘ってきた相手を刀の錆としていたのを知っている。
却下だろう。
・・・山本が、この考えを聞いていたら協力は惜しまなかっただろうが。

それ以外の身近な人間、雲雀恭弥は言った瞬間に噛み殺されるだろうし、笹川了平は京子ちゃんに申し訳なくて考える事も出来ない。ランボにいたっては、いたいけな子供にそんな事は頼めないと言う考えがあるため却下であった。

そんな身近な人間の中で、唯一申し入れられそうな相手が六道骸だった。

何せ今でもあのパイナップル頭を継続して、ワイシャツにネクタイと言う変な組み合わせを着こなす相手なのだ。綱吉の中で、骸=変わった奴=変態と変換されていた。
変態なら問題は無いだろう。
また、性格上そうは見えないのだが、一応骸は美形の部類に入る。実際女性に困った事など無いだろう。ならば、性行為もお手の物だろうと思ったのだ。
それに、骸にはクロームの事やで溜りにたまったボンゴレへの恩が有るのだ。これぐらいして貰っても良いじゃないか。
そんな訳で、綱吉は“脱・マグロ”の練習相手に六道骸を選んだのだ。
そんな綱吉の考えも知らずに、六道骸は上機嫌に聞き返す。

「ようやく、僕の魅力が解かるようになったのですね。良いでしょう、たっぷり足腰が抜けるほど愛してあげましょう」

つい昨日まで綱吉に夢を見ていた骸だったが、誘いをかけられた時点でそんなものはドブに捨てた。
目の前で、綱吉が自分を誘っている。こんな機会を逃す手は無い。
もっとも、そんな骸の意気込みとは反対に、綱吉は平坦だった。

「骸の魅力はずいぶんと前から知ってるよ。酢豚に入ってるとウザイけど、デザートで食べるには美味しいところだろ?取りあえず一回シてみてくれれば良いから。良いか悪いか感想聞かせてくれるだけで」

何気に酷い言われようだったが、骸は全く気にしなかった。

「遠慮なしなくても、素直に僕を好きになったといえば良いんです。素直じゃないんですから、綱吉君は」

さあ、と両手を広げ綱吉を抱こうとするが、綱吉は動かない。
それにも骸は気にせずに、今度は強引に綱吉の腰を抱くと隣室の綱吉の寝室に促す。

「・・・お前相手に今更遠慮しないよ。ヴィンデチェの事とかでボンゴレはお前に嫌と言うほど恩売ってんだから。好きと言うよりも、お前が居ないとクロームが悲しむからなぁ。あ、クロームに悪いかな」

見事に会話が噛合ってない。いないが、突っ込み不在のため可笑しな会話は継続されていく。因みに、獄寺は最初の綱吉の発言の直後、奇声を発してどこかへと走り去ってしまった。

その噛合わない会話が継続される中、あれよあれよという間に骸に剥かれていた綱吉だったが、ベットに押倒されたところで打ち切りとなった。

「何してやがる」

寝室のドアを蹴破り、真っ黒なオーラを身にまとったリボーンが登場したからである。

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因みに、雲雀さんは風紀委員会一同作成の「僕と君(綱吉)のメモリアル」部屋に閉じこもってたりします。
・・・雲雀さん好きの方ごめんなさい・・・!!穐吉も雲雀さん大好きなんです(どの口が言う)!!

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crisi

綱吉君に望まれて、求められて、愛されて。
それ以上の何を望むと言うのですか。
彼を手に入れといて、彼の全てを手に入れておいて・・・!!
これだから、マフィアは嫌いなんですよ。
そんな悠長にしていると、奪っていってしまいますよ?覚悟なさい、アルコバレーノ。

 

crisi(急変)


 

時は少しさかのぼる。

リボーンは不機嫌であった。
この一ヶ月、ツナの元に戻っていない。
そう、戻っていないのだ。
リボーンにとって、自分自身が単位であって、今まで“行く”事や“通う”事はあっても、“戻る”と言う認識をするなどと思ったことも無かった。
だが、綱吉は別だ。綱吉のやわらかく暖かな気配、まっすぐに自分を見つめてくるはちみつ色の瞳にそっと重ねられる指先。それらはもはやリボーンにとって欠かすことの出来ない日常の一部となっていた。
硝煙と血の匂いに染まった自分の唯一の安寧。それが綱吉の傍であった。
どんな極上の女と過ごしたとしても、綱吉には敵わない。
他の者と比べる事など出来ない。
リボーンは自覚していた。
たとえ、どんな相手と過ごしていても、どんな事をしていても、結局最後に落着くのは綱吉の傍なのだと。
綱吉こそが、リボーンの唯一であると。

それなのにこの一ヶ月、綱吉の元に戻ることが出来なかった。


一ヶ月前まで、リボーンは綱吉とは想いが通じあっているものだと思っていた。
綱吉はリボーンの特別であったし、綱吉もまたリボーンを特別に想っていると感じとっていたからだ。
リボーンは読心術が使えるが、綱吉への想いがどうしようも無い弟子に対するものだけでない事を自覚したときに、綱吉の心を読むことは辞めていた。
最強のヒットマンとして大量の相手を屠ってきたリボーンであったが、それだけの誠意は見せたかったのだ。その為、今回の綱吉の勘違いに気付く事ができなかった。
綱吉は表情が豊かな為、心を読まなくても大体の事は読めた。わざわざ読まなくても問題無いと思っていたのだが、まさかあんな勘違いをしているとは思わなかったのだ。

リボーンが同情や興味本位で綱吉を抱いているのだと。
綱吉が、リボーンにとって愛人以下の存在であるのだと。

冗談じゃない。
思わず読み取ってしまった綱吉の思考は、リボーンにショックを与えるのに十分な内容であった。
そのまま綱吉の傍を離れ、一ヶ月経った今も逢いに行けないほどに。

リボーンは、彼なりに綱吉を大切にしてきたつもりであった。
それこそ、初めては煮詰まって強引に奪ってしまったが。
煮詰まっていたと言えども、それまで何年も焦がれた相手だ。必死で理性を動員してその無垢な身体を丹念に解きほぐし、傷をつけないように慎重に快楽だけをを注ぎ込んだ。
それこそ、たとえ強引に抱いた事で心が離れてしまっても身体が離れられないように溺れさせた。
だが予想に反して翌日、綱吉は甘い声でリボーンを呼び頬を染めた。そんな綱吉の想いを理解するには時間が掛からなかった。
その瞬間、狂喜したのは今でも思い出せる。

初めてが強引に進めてしまったため、それ以降は綱吉の意志を尊重した。ツナが望んだ時のみ抱くようにしていたのだ。
傍に居る時間が長ければ長いだけ離れがたく、際限無く抱いてしまいそうになる為、行為を終えたその後は直ぐに側から離れるようにもしていた。
自分のしたいようにしかしてこなかったリボーンにとっては最大級の譲歩をしていたのだ。
それが仇となった。

よりにもよって、愛人以下の関係と思われているなど・・・!
愛人は、持つものであって愛するものではない。
リボーンはツナを愛したかった。

 

リボーンは、テーブルの上に置いた携帯を見る。
このナンバーを知っているのは綱吉だけだ。
だが、綱吉から掛かってきた事は情報屋の女と居た時の一度だけだ。
それ以降は一度も掛かって来なかった。

綱吉の勘違いを知った今考えると、愛人とでも一緒に居たのだと思ったのかもしれない。そんな事は杞憂だと言うのに。
リボーンは綱吉と関係を持って以降、全ての愛人と切れていた。
綱吉を抱いた後では、どんな女性とでも熱くなる事は無かったのだ。

鳴らない携帯を見る。
綱吉は知らないだろう。
リボーンが綱吉からの電話を待っているなど。
それでも、期待せずには居られなかった。

だが、獄寺が若い頃の様に顔面を崩し取り乱した様相で、部屋に駆け込んで来た事で事態は一変する。

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ようやくここまで来た・・・!!

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La verità, esso nella radice

ツナをどう思っているかだと?
そんなものは決まっている。
他の誰かに一片たりとも触れさせてなるものか。出来る事なら閉じ込めて、オレだけのモノにしている。
だが、あいつは大空だ。
死神が独り占めできる者ではない。
だが、それをツナが望むと言うのなら。望んでくれると言うのなら・・・。
 

La verità, esso nella radice(真実、それは深層に)
 




獄寺からの話を聞き、リボーンはすぐさま綱吉の部屋に駆けつけた。
綱吉の傍には居れず、かといって離れる事もできずリボーンは屋敷内に居たのだ。駆けつけるのは早かった。


綱吉の部屋に着いた瞬間、リボーンは、目の前の光景に全身の毛が逆立つ思いをした。誰だって、想い人が自分以外の人物に覆い被されている景色など見たいものではない。
全身からの殺気を抑えられないまま、綱吉を押し倒している相手に声をかける。

「・・・骸、離れろ」

「クフフ・・・嫌だと言ったら?」

一瞬即発の空気が流れるが、以外にも先に折れたのは六道骸であった。
リボーンの殺気を受けても平然としていた彼であったが、綱吉の微かな震えに気が付いていたのだ。
ここで、少しでも綱吉がリボーンに対する拒否反応を示していたら、無理矢理にでも奪うつもりであった。だが、綱吉はリボーンにではなく骸に怯えていた。気丈に振舞っていたが、やはり想い人以外と関係を持とうとする事はつらかっただろう。
綱吉にそんな思いをさせた事に、リボーンに対する怒りが湧き起こるがそんな相手でも綱吉が望む以上、引くしかない。
所詮、骸とて泣き顔よりも綱吉の笑顔を望んでいるのだ。
後は本人達の問題。吉が出ようとも、凶が出ようとも綱吉さえ笑顔で居るのなら骸はそれで良かった。
もっとも、意地悪ぐらいはさせてもらう。今度、このようなことがあればたとえ綱吉の想い人でも容赦はしない。
それが、綱吉の守護者たる自分の特権だと骸は考えていた。

 

骸が去った室内。
二人は微動だに出来ずに、その場に居た。
綱吉は服を肌蹴させたままベッドの上、リボーンは戸口に。

「ツナ」

リボーンの声に、綱吉の肩が震える。
微かな声音の硬さに、怒気を感じたのだ。このまま捨てられてしまうかもしれない。そう思うと、どうしても顔を上げられなかった。

本当の事を言うと、綱吉だってリボーンの恋人になりたかった。
リボーンは何でもできるし、愛人も沢山いる。その愛人だって美人ぞろいで、美しいだけじゃなくて頭も良い相手ばかりだ。そんな彼女達を相手に、自分はただ、ドン・ボンゴレと言うだけで、元生徒だというだけで彼の一部の時間を独占しているのだ。
ダメツナの自分なんかが。
そんな自分が、恋人なんておこがましい。ならばせめてと自分自身に許した夢が、リボーンの愛人になることだった。
綱吉にとっては、リボーンの愛人になりたいと想う事自体、精一杯の夢だったのだ。リボーンの愛人になりたいと思うまでに至るのだって、5年は掛かっている。それ以上を望むのは、許容量外であった。
綱吉の瞳から、こらえていた涙がこぼれ落ちる。

「ツナ」

リボーンは、綱吉の心を読むことで今の状況を理解していた。出来れば、読まずに済ませたかったが、前回の件もあり、誤解や勘違いはもう沢山であったのだ。
綱吉の感じていた怒気は、リボーン自身に向けられたものであった。
綱吉は、今までストレートにリボーン感情を伝えていた。
「愛している」と。
言葉で、表情で、全身で。
リボーンは言葉にこそしなかったが、何よりも綱吉を優先にする事で愛情を伝えているつもりだった。何より、綱吉には超直感があるのだ。
リボーンの綱吉に対する想いには気付いていると思っていた。
だが、実際は違った。

「綱吉、オレを見ろ。・・・ツナ」

泣き止まない相手に、リボーンは戸惑っていた。
泣かせたい訳じゃ無い。こんなふうにリボーンから距離をとり、一人肩を抱いて耐えさせたいわけじゃない。
リボーンが思っていた以上に、綱吉の中での“ダメツナ”の意識が根強く残っていたのだ。超直感を曇らせるほどに。
今更ながらに、綱吉の心を読まなかったことを後悔した。

友人を与えた。
勉強だって、やれば出来る事を教えた。
体力も付けさせた。
巨大ファミリーのボスだって、立派に務めているのだ。
自信だって当然ついているものだと思っていた。

そして、初めは無理矢理だったがツナの反応から、想いは通じていると思っていたのだ。その分、事実を知ったときの衝撃は強かった。
思わずツナを拒絶するほどに。
それが、これほどまでに綱吉を追い詰めるとは思っても見なかった。

リボーンは途方に暮れた。
何故。
何故自分達の想いは同じはずなのに、こうもすれ違うのか。

ツナに甘え、言葉として伝えなかったことがいけなかったのか。
リボーンは自分の感情を「愛している」と言うのに抵抗があったのだ。
綱吉に対する思いは、恋や愛といったものよりも重く、ドロドロとした欲望や執着がないまぜになったものであった。
こんな感情を、綱吉と同じように“愛”と言うには抵抗があったのだ。
だが、ここで想いをきちんと言葉にしない事には、確実にツナの気持ちは自分から離れてしまう核心はあった。

「ツナ、頼むからオレを見てくれ」

そっと、近づき抱き寄せようとするが綱吉は嫌がり、それを拒む。
背をかがめ、綱吉と目線を合わせようとするが、綱吉の瞳はきつく閉じられ涙を流すばかりだ。

「ツナ、」

それでも強引に抱き込めば、嫌がるようにかぶりを振る。
リボーンの綺麗に手入れされたスーツに、ツナの涙でシミが出来るが構わずに強く抱きしめる。
一ヶ月ぶりに抱きしめた綱吉は、微かに細くなっていた。
意を決して、言葉を紡ぐ。
未だ、抵抗はあるが綱吉を失うわけにはいかない。

「愛してるんだ」

「・・・嘘だ」

ようやく言えた言葉だが、綱吉からは即座に否定される。

「嘘じゃない。オレが、今までに嘘をついたことがあったか?」

その言葉に、綱吉は微かに反応を示した。
額に口付けを落していけばようやく涙は止まり、瞳が少しずつ開かれる。

「ツナ、分かるだろ」

目線を合わせて、真剣に問えば戸惑うような反応が返される。
リボーンの本気を感じ取ったのだ。
それでも尚、否定の言葉を捜す綱吉にリボーンは言い募る。

「何度でも言う。愛してる」

「Io l'amo」

綱吉の心を完全に解きほぐすのは、まだまだ時間がかかるだろう。
だが、リボーンはもう言葉を惜しむつもりは無かった。
もう二度と、腕の中の最愛の相手を泣かせるつもりなど無かったのだ。

思い知らせてやろう。
愛人などではなく、恋人以上に想っているのだと。

覚悟しておけよ?ツナ。

END

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

終わったー。
最初、ギャグで三話完結予定だったなんて誰が信じるだろう;;。

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