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女性向き(BL等)、腐女子向け。『家庭教師ヒットマンREBORN!』の二次創作が中心です。

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  • 2024/05/19/06:57

Loro lo svegliarono

『ネーロペーぺ』(携帯サイト:ブラックペッパー)の、スギ様への相互記念小説。

十年後、就任直後ぐらい。
タイトルの意味は「彼等は目覚めさせた」だったような・・・。(オイ)

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『頑強な騎士に守られたリトル・プリンセス』

それが、十代目ドン・ボンゴレ沢田綱吉に対するマフィア界の認識であった。

争い事を嫌い、何事も抗争ではなく交渉で解決しようとする姿勢。たとえやむなく抗争となっても、決して戦場には現れない事からそう囁かれる様になった。
その囁きが拡がり目の前で聞かれたとしても、十代目ドン・ボンゴレが穏やかな笑みを浮かべていただけであった事も、拍車をかけた。
血生臭いこの世界にあって、抗争を嫌い最後まで交渉による解決を望む姿勢や侮られても反論せず笑っているなど、臆病以外の何者でもない。
本来なら直ぐに潰されそうなものだが、周りを固める古参の幹部達が有能で中々隙を見せず、更には最強のヒットマンであるリボーンが常に目を光らせていた為、ドン・ボンゴレ十代目に手を出すことは適わなかった。

だが、ボンゴレの領地は魅力的だ。
安定した収益、完璧に整えられたルート、闇総てを網羅していると言われるネットワーク。それらの一部でも手に入れる事が出来れば、莫大な収益につながる。
そこで考えた。
ボンゴレの十代目ボスとその守護者は腑抜けたジャポーネだ。その彼等を守っている壁さえ無くなれば、途端に脅えて偏狭の島国へ逃げ帰るだろうと。
ボンゴレのシマを狙っているマフィアに声を掛け、最大の守り手となっている最強のヒットマン・リボーンを集中的に攻めて傷付ければ事は簡単に済むと。
彼等はそう考え実行し、目論見は半分成功した。
そう、半分は。

 

 

リボーンが撃たれた。
その報が入った時、綱吉は屋敷内で現在対立しているマフィアとの交渉案をまとめている所だった。多少キナ臭い動きのあるファミリーだが、甘い汁さえ吸わせておけば問題は無いと判断しての事だ。
出来れば抗争はしたくない。
ひとたび抗争ともなれば、大なり小なり必ず血は流される。たとえ相手側であっても傷つく者が出るのは嫌だった。傷つく者がいる位なら、たとえ侮られても和解に持ち込みたい。
そのため多少相手に有利になろうとも目をつむるつもりだったのだ。
この時までは。

「誰が、いやどこがリボーンを撃ったの」

思ったより冷静なボスの返事を聞き、安心した部下は報告を続ける。
己等のボスは、部下が傷つく事を極端に嫌う。
末端の準構成員に対してですらも哀れむ自分達のボスが、側近中の側近であるリボーンの負傷に取り乱さないかと危惧していたのだ。
だが報告を続けるにつれ、ボスのあまりの静かさに不安を抱く。しかし、言及することなく報告を終えた。

それまで黙って静かに聞いていた綱吉は、手元の書類に目を落とした。
報告に出てきたファミリーが、繋がりを深めている所が現在交渉中のファミリーであった。
水面下で何かを計画している事も、報告を受けていた。
そして、何より直感が告げていた。
「わかった」
そう言うや否や、それまで持っていた書類を放り立ち上がる。
「守護者を呼んで」
現在、守護者はそう重要な任務に就いておらず、呼べば他ファミリーのランボ以外は直ぐに集まる状態であった。
部下の返事を待たずに、執務室から出た綱吉は歩を進める。
行き先は決っている。
守護者もじきに追いついてくるだろう。

屋敷の廊下を歩いている内にも、山本、獄寺と綱吉の元に早くも守護者が集まりだした。
綱吉は視線を少し傾けただけで、歩みは止めずに二つのファミリーの名を告げた。一つはリボーンを撃ったファミリー。もう一つは現在和解を交渉中のファミリーの名であった。
「潰せ」
一転したボスの態度に、そのまま綱吉に付き従っていた部下は驚き、目を見張る。それまでの、穏やかなボスとは打って変わって、表情は無く空気すらも色を失っていたのだ。彼自身、ボスに忠誠を誓ってはいたが、マフィアらしさを期待していなかっただけにこの変化には驚いた。
だが驚いたのは彼だけで、集まりだした守護者の面々は平然としている。
一番最初に綱吉に追いついていた、雨の守護者・山本武がいつもと同じ明るい声で綱吉に声を掛ける。
「交渉はどうすんだ?」
「必要無いよ」
「そっか」
間髪入れずの答えに山本は刀を肩にのせ、ニカリと笑う。
綱吉のカンは外れない。
ならば、この二つのファミリーがリボーンの襲撃に関わっているのは決まりだ。そうでなくても、綱吉の望みに異を唱える気は無かった。それは他の守護者も同じだろう。

山本への返答を聞き、少し先で壁に背を預け綱吉を待っていた雲の守護者・雲雀恭弥が口の端を吊り上げ楽しげに聞いてきた。
「傘下への引き入れはどうするの?」
「それも、必要ありません」
傘下への引き入れは、綱吉が交渉相手に求める最後の手段である。
「ならば好きに動くよ」との言葉を残し、その場から離れていった。
久々の実践に、その表情には喜色しか浮かんでいない。ましてや相手は曲りなりにもリボーンを傷付けたファミリーだ。手応えを期待しているのだろう。

雲の守護者と入れ違いに到着した晴れの守護者・笹川了平も、疑問を投げかける。彼の技は威力が大きすぎるために現在、綱吉の命により青のアルコバレーノ・コロネロの元で加減を覚える修行中であった。
「俺はまだ巧く手加減が出来んが、良いのか?」
「手加減など、しなくてかまいません」
許可を受け、早くも拳を握りだした了平の顔に憂いは無い。
その瞳に浮かぶのは、相手に対する純粋な闘争心だけだ。

しばらく進むと、どこからともなく現れた霧の守護者・六道骸が問いかけてくる。
「複数のファミリーが今回の襲撃に加担しているようですが?」
「好きにしろ。気に入れば、思う存分遊んでやればいい」
その言葉に、常に張り付けている笑みを更に深めた。
アルコバレーノ、リボーンに対する綱吉の感情を知る骸は、加担したマフィアの愚考を嘲笑う。
そして、綱吉からのお墨付きを貰った以上、加減をする気など全く無いのだろう。
「仰せのままに」
一礼をすると、そのまま姿を消した。

綱吉の右後ろに付き従う嵐の守護者・獄寺隼人が、唖然としている部下に後の処理を指示して追払うと、最後の確認をする。
「相手が降伏してきた場合はどうされますか」
「聞く必要など無い。言ったはずだ、潰せと。」
たとえ、抗争で決着をつける時であっても相手が降伏すれば綱吉は許してきた。それすらも拒絶されたのなら、そのファミリーに明日は無い。
そこでようやく綱吉は歩みを止めると、最後の指示を出す。
「再興を許すな。血族すらも絶やせ。完膚なきまでに叩き潰せ」

綱吉の額に炎が燈る。
「さあ、饗宴の時間だ」

 

 


その日一晩…否、数時間で二つのファミリーが地上から跡形も無く消えた。
それ以外にも、ボスが発狂するなどして建直す事が難しくなったファミリーが複数潰れていった。
当初、何処の行ないか解らなかったが、時間が経つにつれてボンゴレの現ボス・沢田綱吉とその守護者によるものだと判明した。

戦慄。

その一言に尽きた。
潰されたファミリーはどれも規模の小さくない、武闘派で知られたマフィアであった。
抗争ともなれば、大量の血が流れる事を覚悟しなければならないような相手がなす術も無く一瞬である。ファミリーは全滅。建物・血縁者に至るまで全て消え失せた。
しかもそれは、たった数人の所業であった。
想像を絶する行いに、初めの内は信じられなかった者達も唯一生き残った愛人達の話を聞く限り、信じるしかなかった。
今まで侮っていた、ボンゴレ十代目・沢田綱吉とその守護者の怖ろしさを。
更には、見事なまでに潰れたファミリーの穴を埋め、裏社会を混乱させること無く収めたボンゴレの処理能力を見せつけられた。


それ以来、ボンゴレ十代目を嘲笑う声は聞こえなくなった。

 

 

 

 

「リボーン、傷の具合はどう?」
「単なるかすり傷だ。絆創膏も要らないほどの、な」
「そう。よかった…」
「それよりもツナ、“殲滅”したのか?」
「ああ、リボーンを傷つけたファミリーね」
「普段はどんなに言っても強攻策をとらないお前がな」
「リボーンに傷をつけたんだ。当然だろ?お前を傷つけて良いのは俺だけだ。…たとえ、リボーン自身であっても許されないよ」
「気付いてたか」
「リボーン」
「ボスの命令は絶対、だったな」
「違える事があってはならない。そう教えてくれたのはリボーン、お前だったよね」
「勿論。なんなりと御処分を、ボス」
「そうだね、じゃあリボーン。……――――――――」


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


リボーンに対して並々ならぬ執着を持つツナ。
なんかもっと牙を剥くイメージを形にしたかったのですが挫折orz。
綱吉に「完膚なきまでに叩き潰せ」と言わせれたのでもう満足です。

趣味に走った話ですが、貰ってやってください・・・!!

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