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女性向き(BL等)、腐女子向け。『家庭教師ヒットマンREBORN!』の二次創作が中心です。

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  • 2024/05/19/03:53

La verità, esso nella radice

ツナをどう思っているかだと?
そんなものは決まっている。
他の誰かに一片たりとも触れさせてなるものか。出来る事なら閉じ込めて、オレだけのモノにしている。
だが、あいつは大空だ。
死神が独り占めできる者ではない。
だが、それをツナが望むと言うのなら。望んでくれると言うのなら・・・。
 

La verità, esso nella radice(真実、それは深層に)
 




獄寺からの話を聞き、リボーンはすぐさま綱吉の部屋に駆けつけた。
綱吉の傍には居れず、かといって離れる事もできずリボーンは屋敷内に居たのだ。駆けつけるのは早かった。


綱吉の部屋に着いた瞬間、リボーンは、目の前の光景に全身の毛が逆立つ思いをした。誰だって、想い人が自分以外の人物に覆い被されている景色など見たいものではない。
全身からの殺気を抑えられないまま、綱吉を押し倒している相手に声をかける。

「・・・骸、離れろ」

「クフフ・・・嫌だと言ったら?」

一瞬即発の空気が流れるが、以外にも先に折れたのは六道骸であった。
リボーンの殺気を受けても平然としていた彼であったが、綱吉の微かな震えに気が付いていたのだ。
ここで、少しでも綱吉がリボーンに対する拒否反応を示していたら、無理矢理にでも奪うつもりであった。だが、綱吉はリボーンにではなく骸に怯えていた。気丈に振舞っていたが、やはり想い人以外と関係を持とうとする事はつらかっただろう。
綱吉にそんな思いをさせた事に、リボーンに対する怒りが湧き起こるがそんな相手でも綱吉が望む以上、引くしかない。
所詮、骸とて泣き顔よりも綱吉の笑顔を望んでいるのだ。
後は本人達の問題。吉が出ようとも、凶が出ようとも綱吉さえ笑顔で居るのなら骸はそれで良かった。
もっとも、意地悪ぐらいはさせてもらう。今度、このようなことがあればたとえ綱吉の想い人でも容赦はしない。
それが、綱吉の守護者たる自分の特権だと骸は考えていた。

 

骸が去った室内。
二人は微動だに出来ずに、その場に居た。
綱吉は服を肌蹴させたままベッドの上、リボーンは戸口に。

「ツナ」

リボーンの声に、綱吉の肩が震える。
微かな声音の硬さに、怒気を感じたのだ。このまま捨てられてしまうかもしれない。そう思うと、どうしても顔を上げられなかった。

本当の事を言うと、綱吉だってリボーンの恋人になりたかった。
リボーンは何でもできるし、愛人も沢山いる。その愛人だって美人ぞろいで、美しいだけじゃなくて頭も良い相手ばかりだ。そんな彼女達を相手に、自分はただ、ドン・ボンゴレと言うだけで、元生徒だというだけで彼の一部の時間を独占しているのだ。
ダメツナの自分なんかが。
そんな自分が、恋人なんておこがましい。ならばせめてと自分自身に許した夢が、リボーンの愛人になることだった。
綱吉にとっては、リボーンの愛人になりたいと想う事自体、精一杯の夢だったのだ。リボーンの愛人になりたいと思うまでに至るのだって、5年は掛かっている。それ以上を望むのは、許容量外であった。
綱吉の瞳から、こらえていた涙がこぼれ落ちる。

「ツナ」

リボーンは、綱吉の心を読むことで今の状況を理解していた。出来れば、読まずに済ませたかったが、前回の件もあり、誤解や勘違いはもう沢山であったのだ。
綱吉の感じていた怒気は、リボーン自身に向けられたものであった。
綱吉は、今までストレートにリボーン感情を伝えていた。
「愛している」と。
言葉で、表情で、全身で。
リボーンは言葉にこそしなかったが、何よりも綱吉を優先にする事で愛情を伝えているつもりだった。何より、綱吉には超直感があるのだ。
リボーンの綱吉に対する想いには気付いていると思っていた。
だが、実際は違った。

「綱吉、オレを見ろ。・・・ツナ」

泣き止まない相手に、リボーンは戸惑っていた。
泣かせたい訳じゃ無い。こんなふうにリボーンから距離をとり、一人肩を抱いて耐えさせたいわけじゃない。
リボーンが思っていた以上に、綱吉の中での“ダメツナ”の意識が根強く残っていたのだ。超直感を曇らせるほどに。
今更ながらに、綱吉の心を読まなかったことを後悔した。

友人を与えた。
勉強だって、やれば出来る事を教えた。
体力も付けさせた。
巨大ファミリーのボスだって、立派に務めているのだ。
自信だって当然ついているものだと思っていた。

そして、初めは無理矢理だったがツナの反応から、想いは通じていると思っていたのだ。その分、事実を知ったときの衝撃は強かった。
思わずツナを拒絶するほどに。
それが、これほどまでに綱吉を追い詰めるとは思っても見なかった。

リボーンは途方に暮れた。
何故。
何故自分達の想いは同じはずなのに、こうもすれ違うのか。

ツナに甘え、言葉として伝えなかったことがいけなかったのか。
リボーンは自分の感情を「愛している」と言うのに抵抗があったのだ。
綱吉に対する思いは、恋や愛といったものよりも重く、ドロドロとした欲望や執着がないまぜになったものであった。
こんな感情を、綱吉と同じように“愛”と言うには抵抗があったのだ。
だが、ここで想いをきちんと言葉にしない事には、確実にツナの気持ちは自分から離れてしまう核心はあった。

「ツナ、頼むからオレを見てくれ」

そっと、近づき抱き寄せようとするが綱吉は嫌がり、それを拒む。
背をかがめ、綱吉と目線を合わせようとするが、綱吉の瞳はきつく閉じられ涙を流すばかりだ。

「ツナ、」

それでも強引に抱き込めば、嫌がるようにかぶりを振る。
リボーンの綺麗に手入れされたスーツに、ツナの涙でシミが出来るが構わずに強く抱きしめる。
一ヶ月ぶりに抱きしめた綱吉は、微かに細くなっていた。
意を決して、言葉を紡ぐ。
未だ、抵抗はあるが綱吉を失うわけにはいかない。

「愛してるんだ」

「・・・嘘だ」

ようやく言えた言葉だが、綱吉からは即座に否定される。

「嘘じゃない。オレが、今までに嘘をついたことがあったか?」

その言葉に、綱吉は微かに反応を示した。
額に口付けを落していけばようやく涙は止まり、瞳が少しずつ開かれる。

「ツナ、分かるだろ」

目線を合わせて、真剣に問えば戸惑うような反応が返される。
リボーンの本気を感じ取ったのだ。
それでも尚、否定の言葉を捜す綱吉にリボーンは言い募る。

「何度でも言う。愛してる」

「Io l'amo」

綱吉の心を完全に解きほぐすのは、まだまだ時間がかかるだろう。
だが、リボーンはもう言葉を惜しむつもりは無かった。
もう二度と、腕の中の最愛の相手を泣かせるつもりなど無かったのだ。

思い知らせてやろう。
愛人などではなく、恋人以上に想っているのだと。

覚悟しておけよ?ツナ。

END

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終わったー。
最初、ギャグで三話完結予定だったなんて誰が信じるだろう;;。

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